
語りと祈り
姜信子
2023年1月18日
みすず書房
4,400円(税込)
人文・思想・社会
かつてこの世の物語の多くは、土地に息づく小さな神々の声をもって語られていた。世界を語る言葉は「風土を生きる身体」によって紡がれ、人や鳥獣虫魚草木のいのちが宿っていた。そして、人びとは近代の到来とともにそれをあっけなく忘れた。 近代の前と後の断絶。たとえば村共同体の核にあった「神」や「仏」が国家神道によって追放された歴史。あるいは折口信夫が来訪神の祝言に「この世にあらわれたはじめての文学のことば」を聴き、祈りの所作に「芸能の発生」を見た、人びとの暮らし。風土の神々と共にあった民の記憶、民の物語も忘れられていった。 この列島は太古からずっと「ひとつの日本」だったのか。声を奪われつづけた世界のなれの果ての時代に、取り戻した声を手がかりにして再生の道を拓くことはできないか。 説経、山伏祭文、貝祭文、説経祭文、瞽女唄、浄瑠璃、浪曲、パンソリ……、「語り」の声に耳澄まし、失われた声を追い、名残の声に引かれて、足尾銅山、水俣、八重山諸島、済州島をゆく。来るべき「声」の場、そして反旗を翻す詩の可能性を眼差して。
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