英国一家、日本を食べる

亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ1- 10

ブース、マイケル / 寺西 のぶ子

2013年4月30日

亜紀書房

2,090円(税込)

人文・思想・社会

市場の食堂から隠れた超名店まで、ニッポンの味を無心に求めてー東京、横浜、札幌、京都、大阪、広島、福岡、沖縄を縦横に食べ歩いた100日間。

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3.3 2018年01月26日

本書は英国のフードライターであるマイケル・ブースが100日間、家族とともに日本各地を食べ歩いた食の旅行記である。 日本食に対する著者の驚きが素直に綴られているとともに、日本文化論として読んでも楽しめる。私に本書を評価することが許されるならば、私は「面白い」と一言いいたい。大雑把で不味い料理ばかり食べている英国人に日本食の繊細さが理解できるはずがない、との思い込みは当たらずといえども遠からずである。日本食が違う事は分かっても、その違いがどのようなものであるかは、表現できない。そこは日本食に関する書物からの引用で穴埋めしている。しかもその情報量たるや並大抵ではない。日本人の読者は「へー、そうだったのか」と感心しきりである。これが本書の面白さの第一とすれば、第二には焼きそば、焼き鳥、ラーメンと言った我々にとってありきたりの食べ物への並外れた感動である。 来日第一夜のことである。「日本に着いた最初の夜だけに、何か特別なものを食べてみたかった」と考えたブースが向かったのは、狭い路地に小さな居酒屋が軒を連ねる新宿西口の思い出横丁である。念のために確認しておくが、思い出横丁と言ったら終戦後の闇市の雰囲気を今に残す一帯で、上品とは口が裂けても言い難い街である。安酒と安直な肴を求めて夜な夜なオッさん達が集う一画である。決して家族連れで食事をするような場所ではない。イギリス人男性とその妻、そして4歳と6歳の男の子がその一画に紛れ込んで、日本食に第一遭遇接近したのが焼きそばである。日本人も大人から子供までソース焼きそばが嫌いな人はまずいないが、ブースの感想は「冷静に判断しても、癖になる味だ」。 店を変えて今度は焼き鳥に挑戦。英国風に言えばローストチキンであるが、付け合わせの野菜と交互に串に刺して焼くという栄養バランスを考えた合理性に感心しきり。母国英国で生焼けや黒焦げのローストチキンばかりを口にしていたブースが「一口大に切ることによって、英国人の長年の悩みを解消した」と絶賛。こうして始まったブースの日本食紀行はこの後、北海道、京都、大阪、福岡と場所を改めて土地の名物を食す。 詳細は煩わしいゆえ略すが、食い倒れの街大阪の印象を紹介しておきたい。大阪と言えば粉もんであることは論を待たない。ブースは回転ずし、インスタントラーメンのルーツが大阪てあるとの薀蓄を披露するが、さらに大胆な予言すらする。曰く「寿司の次に日本食として世界を席巻するのは、お好み焼きである」。さて、この予想が当たるのやらどうやら。 ブースの日本食紀行はこのように、どちらかといえばB級グルメっぼいが、最後に和食の極みとも言うべき料理を味わう体験をしている。看板もなければメニューもない、会員のみに最高級の和食を供する高級店「壬生」での会食である。こんな店のお客になれるのは、日本人でも限られた人たちである。ましてや一見の外国人が入店できるわけがない。日本を代表する食のオーソリティ服部幸應の同伴者として実現したものだ。この店の女将の言葉が印象深い。「うちの料理は、お金を出せば食べられるというものではないの。神様がこの機会を楽しむ時間を与えてくださっても、能力がなければ楽しめないのよ。能力はお金で買えませんよね」

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