ロールシャッハ法と精神分析改訂

継起分析入門

馬場礼子

1999年3月18日

岩崎学術出版社

3,520円(税込)

人文・思想・社会 / 医学・薬学・看護学・歯科学

●ロールシャッハ法にはきわめて個別的な、人のありようが反映される。同じ反応語でもその意味は、人によって、置かれた文脈によって異なってくる。それを一人ひとりの独自の意味に沿って理解するのが著者のいう継起分析である。ロールシャッハ法の第一人者が著した臨床心理学を学ぶ人・人間理解を志す人のための好適の書。 『本書の位置づけ』 本書はロールシャッハ法に初めて手をつける,という初心者に向けたものではない。学習の手順として,継起分析に入る前に,まず施行法,記号化法,記号の集積を用いた量的分析法を熟練する段階があるが,これらの段階はすでに習得した人を念頭において記している。この段階が必要な人は他の成書で学習 していただくこととして,本書ではこの段階の解説は省略している。本書で基礎にしている記号化法は片口法である。これら前段階の学習がなぜ必要かについては,言うまでもないことのようにも思えるけれども,継起分析の位置づけにもつながることなので,そういう立場から記しておきたい。まず量的分析とは,ロールシャッハ現象の全貌を概括したものである。その被検者の輪郭図といってもよい。継起分析がその人を内側から埋めるように して輪郭を象っていくのに対して,量的分析は外側から見た輪郭図にたとえることができる。あるいは,前著「精神力動輪」(1989)にも述べたように,「歩きだす前に読んでおく地図」にたとえることもできる。地図を読んでおけば,迷路に迷いこむのも予防できる し,どの辺りが難所かという予測も立つ。その上で実際に歩くのが継起分析である。こういう位置づけにおいて,私は量的分析を重視している。また各反応語に付される記号は,その反応語の特徴を端的に示 している。後に詳しく述べるように,記号の変遷を跡づけていくのが私の継起分析の重要な手法であって,そうすることによって,分析者の視点を満遍なく反応語の各側面へ向けることができる し,分析が主観に偏っていないかどう かを確かめることができる。このためには,各記号の意味を充分に理解しておく必要がある。施行法が一定の手順で行なわれていること,記録は正確に詳細になされていること,それによって信頼できる資料が作られていることが,分析の出発点として重要であることはいうまでもない。これらの基礎がなければ,どんな分析法も成り立たないのである。 ●目次 序論 I.理論編 1.ロールシャッハ反応とはなにか  1.日常生活との連続性  2. ロールシャッハ法特有の設定 2. 継起分析の方法  1.各反応語の分析  2.反応継起の分析  3.継起分析のまとめ方  4.各カードの特徴と条件 II.事例編 はじめに 事例1 自己矛盾に悩む青年      --神経症水準の対 人恐怖症 事例2 依存と挑戦を交錯させる女性      --高水準の境界的人格構造をもつ対人恐怖症 事例3 依存性の反動形成と強迫性格      --神経症水準の抑うっ症 事例4 自分の城に立てこもる青年      --低水準の境界的人格構造をもつ無気力症

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