なかなか暮れない夏の夕暮れ

江國香織

2017年2月28日

角川春樹事務所

1,760円(税込)

小説・エッセイ

本ばかり読んでいる稔、姉の雀、元恋人の渚、娘の波十、友だちの大竹と淳子…。切実で愛しい小さな冒険の日々と頁をめくる官能を描き切る、待望の長篇小説。

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ひさだかおり

書店員@精文館書店中島新町店

(無題)

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0
2020年01月16日

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

(無題)

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2.6 2018年09月01日

際限なくダラダラと続くこの小説は、まるでいつまでも暮れない夏の夕方のようである。何が続くかといえば、それは日常である。誰であれ日々の生活には、それほどの変化は望めないのだから、メリハリのない物語がいつまでも続くことになる。 本作品では、小説内小説が二編挿入されている。ミステリーだから、ストーリーとしてはこちらの方がよほど面白い。読書家の主人公・稔が読んでいるのがこのミステリーだ。資産家の稔は独身で定職を持たない。それでいて小学生の娘・波十(はと)が居て、さらに他人ながら認知した子供もいる。資産家であれば資産の継承をどうするのだろうと考えてしまうが、稔は物事に執着しないし、何より人生そのものに関心が薄いように見える。そんな稔が唯一のめり込んでいるのが読書である。一旦本を読み始めると、周りから声をかけられても気がつかないほどに没入するタイプだ。 働くことは、生活の糧を得るために必然である。毎日遊んで暮らせたらそんな素敵な事はない。誰しもが、そう思う。しかし、実際に働かなくても暮らしが成り立つとしたら、人はどう感じどう振る舞うのだろうか。親の代からの資産がある人の生活実感は、自分とはかけ離れているので想像しづらい。もっとも身近ななのは年金生活者であろう。しかし、中には働くことが生き甲斐になっていて、再就職を選択する人もいる。あるいは、何もやることが無くて、毎日テレビを見て過ごすだけの人もいる。そこにいくと、読書は特別な費用はかからないし、何より知的好奇心は死ぬまで枯れることがない。 読書好きなのは稔ばかりではない。娘の波十、姉の雀は同じ部屋に居ても夫々が本の世界に入り込んでしまう。 読書好きにはオススメかもしれない。

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