天の梯

みをつくし料理帖

ハルキ文庫

高田郁

2014年8月31日

角川春樹事務所

682円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

『食は、人の天なり』--医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか!?厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは!?「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。

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3.3 2018年01月24日

みおつくし料理帖シリーズ最終巻と聞けば、朝日太夫は?、身請けの4,000両は?と先走って考えてしまうのは、人情というものでしょう。でもね、この作家さん、気を持たせます。第三話まで読み進んでも、クライマックスが一向に見えてこないんですよ。で、第4話まで読んだんでしょ。どうなったの。どうなったかって、それを今ここで言っちゃあルール違反でしょう。ただね、かつて澪は易者に雲外蒼天の運命を予言されていましたよね。その意味は「苦労の多い人生だが、その苦労に耐えて精進すれば、必ず青空が拝める」ですから、結末は予測がつきますね。 5年間で10巻、楽しませてもらいました。幸せな気分を味合わせて貰いました。最終巻最終章は涙、涙の連続でした。丸顔で、眉は下がり気味、鈴のような眼、小さな丸い鼻は上向き。緊迫感のない顔をしており「叱り甲斐がない」。こんな澪と寄り添う5年間でした。作家によっては、細かいプロットを決めずに筆の走るままに物語を展開させる人もいるようですが、この著者の場合は最初からこの終わり方を想定して書き始めているように感じます。何故なら、終わってみると、バラバラだったジグソーパズルのピースが最後の1枚までピッタリと収まる気持ち良さを感じるからです。 ジグソーパズルの最終的な絵柄を見せ始めるのは、一柳庵の主人柳吾が一流料亭の味と料理を澪に仕込み、一流料理人に育てる為に澪を一柳庵に招くのですが、澪がこれを断る辺りからです。澪が目指す料理人とは、棋界に名を残すような料理人ではありませんでした。食べ物がなければ身体を維持することはできません。毎日美味しく食物を取れる料理、言わば、つるやで出される料理を作る料理人が澪の目指す料理人でした。これで澪の生き方が定まります。 次は、佐兵衛が吉兆庵江戸店を潰してしまい、料理人の道を諦めた秘密が明かされます。さらに佐兵衛が自らの過去の過ちと向き合う事によって、登竜楼はあっけなくお取りつぶしとなり、主の采女は行方不明となります。佐兵衛が自首することによって救われた柳吾でしたが、佐兵衛はさらに小松原によって救われます。御前奉行と街場の料理人、立場は違っても同じ料理人として認めるものがあったのです。小松原が収まる所に収まりました。後は源斎先生と野江のピースがが何処に収まるかです。これは貴方がおさまり場所を探してください。

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