
あきない世傳金と銀(三)
ハルキ文庫
高田郁
2017年2月28日
角川春樹事務所
638円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
大坂天満の呉服商「五鈴屋」の女衆だった幸は、その聡明さを買われ、店主・四代目徳兵衛の後添いに迎えられるものの、夫を不慮の事故で失い、十七歳で寡婦となる。四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。果たして幸は如何なる決断を下し、どのように商いとかかわっていくのか。また、商い戦国時代とも評される困難な時代にあって、五鈴屋はどのような手立てで商いを広げていくのか。奔流に呑み込まれたかのような幸、そして五鈴屋の運命は?大好評シリーズ、待望の第三弾!
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江戸時代は経済学的に言えば拡大再生産がなされないため、新たな富の創出も少なかった。結果として社会の構成員への果実の分配も少ない。通常こうした社会には不満が鬱積して、やがては崩壊への途をたどるものだ。ところがこの時代の人々は豊かではなかったが、幸せであった。では、そのような精神性が育まれたのはどうしてであったろうかを考えて見たい。 民間の思想家・石田梅岩が登場するのは、元禄バブルが崩壊し有力商人が相次いで追放・財産没収の憂き目にあった時代であった。江戸の官学・朱子学の影響で商人を卑しんだり憎んだりする社会風潮の中、商人出身の梅岩は営利活動の正当性を説くとともに、商人にも商道徳を求めたのだった。梅岩の教えは心学と呼ばれ、幕府にとって都合の良い思想であるばかりか、町人の正しい生き方を教えるものとして町人の中で支持され全国に広がった。 本書はそんな商人道と金儲け第一主義の強欲資本主義を対比させ、日本人の精神性をあぶり出して読者の心をくすぐる趣向なのだろうか。主人公、幸が石田梅岩の「都鄙問答」を読んで感動しているシーンがある。松下幸之助が座右の書とした「都鄙問答」である。作者が「都鄙問答」に触れて難波商人の真髄を描いてみたいと思ったのだろう。どうもその辺にこのシリーズ執筆の動機がありそうに思える。シリーズは本巻ですでに3巻目。幸の生い立ちから始まって、奉公先の御寮人さんとはなったものの、本領を発揮するにはまだまだ時間を要する予感がする。
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橘薫
まだまだ続く波乱
惣次に嫁ぎ、ご寮さんとして日々を懸命に生きる幸。 店も少しずつ持ち直し、幸は惣次の夢、江戸店子のために尽力することを誓う。 しかし…やっぱり惣次、店主の器ではない…。 幸の奮闘、アイディアに脱帽です。 さて、4巻で惣次はどうなるのか、楽しみ。
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