跳びはねる思考

会話のできない自閉症の僕が考えていること

東田直樹

2014年9月30日

イースト・プレス

1,430円(税込)

小説・エッセイ / 人文・思想・社会

重度自閉症の著者が「生きる」ことの本質を鋭く、清冽な言葉でとらえた珠玉の一冊。

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(2

starstarstar
star
3.5

読みたい

5

未読

10

読書中

1

既読

22

未指定

40

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

ソクラテスは「ぜひ結婚しなさい。よい妻を持てば幸せになれる。悪い妻を持てば哲学者になれる」と、語りました。この本の著者は、自閉症として生まれるてきた結果、詩人ないし哲学者となりました。健常者と異なる感受性を持った自閉症者が独自の視線で紡ぎ出した言葉は、みずみずしい詩を生み出します。また、知的能力に問題のない自閉症者は生まれてきた意味、生きていく意味に深い問いを発しますので、哲学的思考が高まります。 本書は会話ができないほど重度の自閉症青年・東田直樹が、パソコンを使って書いた本です。スーパーの中で突然大声を出して走り出す子ども、独り言というには大きすぎる声で、わけのわからない言葉を叫びながら歩いている人、信号待ちの時、ウーウー唸り声を上げながら、身体を左右に揺らして足踏みしている大人、そんな人たちは大概自閉症の人です。自閉症の人たちは、見え方、聞こえ方、感じ方が健常者とは異なるため、人とは違った、変わった行動をしてしまうのです。そんな人がいると、思わず眉をひそめたり、避けてしまうのが私たちです。それは彼らの心の働きや行動様式が私たちの理解の外にあるからです。 ところが本書を読むと、自閉症者の心や知能が私たちとなんら変わる事がなく、奇異な行動の裏にある彼らの気持ちがよくわかります。健常者が障害を持つ人の気持ちを想像することは、あまりありませんね。著者も他の障害を持つ人の心の中を考える事はまず無い、と本書で述べています。障害を抱えて生まれてきた子供が自分の障害に気づき、絶望と居場所のなさに右往左往するところから前向きに生きる事を決意するまでの気持ちの変化って、どうなんでしょうね。少なくとも著者は今、とても幸せそうに見えます。それは何者からも自由な世界、思考の世界を手に入れたからです。その世界ではどんなに跳びはねても構いません。でも、跳びはねても重力には逆らえませんので、やがて地上に引き戻される哀しさを秘めた跳躍である事を知っているから、こんな言い方をするんでしょうね。 障害は人類の歴史とともにありました。そしてそれは差別の歴史でもありました。もう終わりにしなければなりません。私たちの心の中にある差別の気持ちを振り払う第一歩は、知る事から始まります。その意味からも本書は良書と言えましょう。

全部を表示
Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください