
銃・病原菌・鉄 下
ジャレド・ダイアモンド / 倉骨 彰
2000年10月2日
草思社
2,090円(税込)
人文・思想・社会
なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。 分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。 ピュリッツァー賞受賞作。
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世界の進歩のスピードは。
私達は物心ついた時から、「国」や「地域」をぼんやりと理解する。裕福で進んでいる国もあれば、貧しく遅れている国もあり、それが当然のことと認識している。しかし人類が生まれた最初から、それが決まっていたわけではない。むしろ歴史の各点において、最先端を行く国・地域は異なっていた。ではなぜそれが変わったのか。進んでいる国はなぜ進んでいるのか。私達はなにとなく、白人は優秀だから進んでいて、それ以外は劣っている、と誤解しそうになる。 しかし著者は、それを環境によるものとして説明する。生まれた環境・国土・気候により、人類の進化のスピードは決定づけられる、と。この謎解きは非常に論理的であり、またとても刺激的だ。
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(無題)
科学技術の発展著しい時代に生を受けた私は、その恩恵を享受するとともに、そこから醸し出される時代の雰囲気にどっぷりと浸からざるを得なかった。若い頃の私は、未来は常に明るく、人類は進歩すると無邪気に信じ込んでいたものだった。仮に社会制度を例に取れば、封建制から共和制への移行は進歩以外の何物でもない、と信じて疑うことがなかった。ところが、歴史の真実をつぶさに知るに連れ、いつしか、そう単純ではない事に気付き始めた。人類は過去に共和制から帝政、議会制から独裁と時代を逆戻りする選択をしたことがあったのだ。 時は古代ローマ、ユリウス・カエサルこそ帝政ローマ帝国への道を敷いたその人だ。共和制ローマにあっては、政治リーダー・執政官は、元老院が候補者を選び民会の選挙により選任される。定員は2名で、これは独裁を防ぐためである。しかも任期は1年と短かった。民主制を尊重し、独裁を恐れた政体と言えよう。そんなローマにあって、不思議な事に独裁官という職制があったのだ。外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱など、国家の非常事態が発生した場合、権力が分散されているのは非効率的である。そういった場合にはただ1人に強大な権限を与えて事態に対処させることとしたのである。ただし、任命された者が無制限に権力を行使しないように、その任期は通常6ヶ月と短かった。カエサルは権力を手中にすると、終身独裁官となり、帝政ローマへと大きく踏み出したのだった。つまり、政体に効率化を求めれば権力の集中は避けられず、それはやがては社会の階層化を招く事になる。 さて、本書上巻のレビューで投げかけた疑問の2つ目には、未だ答えてなかった筈だ。実はローマ帝国の事を長々と書いたのは、この下巻で人類が創り出してきた社会体制の歩みに触れているからだ。人間社会の階層化は歴史的に見れば、必然ともいうべき事柄と定義付けている。国民国家に生きて効率的な政体運営を望めば、「人間に上下貴賎はない」といくらヒューマンな叫びを上げても、階層化は避けて通れないのである。
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たきひろ
(無題)
下巻は言語から見た人類の動き、ヨーロッパ以外の各地方にいた民族はなぜ支配できなかったかを説明する。非常に細かい説明でなるほどと思えるものが多く、他の歴史本を読んでいてもこの本の記述が頭に浮かび歴史本の理解がスムーズになった気がする。最後のほうはやや駆け足感があったものの人類史を科学的に考査するようになればより未来につながる情報を得ることができるだろうと結ぶ。少々難しかったが歴史に対して一歩踏み込んだ知識を得られた良い本と思う。
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