平気でうそをつく人たち
虚偽と邪悪の心理学
草思社文庫
M.スコット・ペック / 森英明
2011年8月31日
草思社
1,045円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
世の中には平気で人を欺いて陥れる“邪悪な人間”がいる。そして、彼らには罪悪感というものがないー精神科医でカウンセラーを務める著者が診察室で出会った、虚偽に満ちた邪悪な心をもつ人たちとの会話を再現し、その巧妙な自己正当化のための嘘の手口と強烈なナルシシズムを浮き彫りにしていく。人間の悪を初めて科学的に究明した本書は、人の心の闇に迫り、人間心理の固定概念をくつがえした大ベストセラー作品である。
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Tojo Hiroyuki
思考パターンの歪み、自己防衛と責任転嫁。
ボリュームのある本だが、伝えている情報はシンプル。それが繰り返されている。 実際の精神治療で出会った「邪悪な人」との描写に引き込まれる。 “絶えず他人を犠牲にせざるをえない極端な自己防衛によって動かされている。” “邪悪性とは、誤った完全性自己像を防衛または保全する目的で、他者を破壊する政治的力を行使することである。” “嘘をつくと言うことが、悪の根源であると同時に悪の発現だからである。”本書のタイトルに言及。 邪悪と表現しているところがイマイチ腹落ちしない。 人間のよくある一例のように感じたため。 自分が似たような人間だからか? 第5章で突然集団の悪について語るのだが、こちらはなかなか面白い。ベトナム戦争でおきたソンミ事件(集団虐殺)についての分析。個人も国家も悪に染まる仕組みは同じだという。空気の研究や失敗の本質とあわせて考えたい。 “集団の中の個人の役割が専門化しているときには、個人の道徳的責任が集団の他の部分に転嫁されがちである。” “不快な状況に長期間置かれている人間は、ほぼ不可避的に退行を示すものである。”退行ー成長が逆行 “人間は集団環境の中においても対抗見せるものである。ー大半の人たちは、リーダーとなるよりはむしろ追随者となることを好むと言う事実。” “邪悪な人間は自己批判に耐えることができない。したがって、邪悪な人間が何らかの形で攻撃的になるのは、自分が失敗した時である。これは集団にも当てはまることである。” “脅威にさらされたナルシシズム(自己愛)と言う条件から悪が生まれる。強度のナルシシズムにとらわれた(つまり邪悪な)人間は、自己の完全性イメージを脅かす相手に対しては、だれかれお構いなしに攻撃を仕掛ける。”
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