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21世紀の道徳
学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える
犀の教室
ベンジャミン・クリッツァー
2021年12月3日
晶文社
1,980円(税込)
人文・思想・社会
ポリティカル・コレクトネス、差別、格差、ジェンダー、動物の権利…いま私たちが直面している様々な問題について考えるとき、カギを握るのは「道徳」。進化心理学をはじめとする最新の学問の知見と、古典的な思想家たちの議論をミックスした、未来志向とアナクロニズムが併存したあたらしい道徳論。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで構成する、進化論を軸にしたこれからの倫理学。
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Ida Kazuya
京都生まれ・育ちのアメリカンが現代日本に表明する道徳的態度
著者:ベンジャミン・クリッツァーは京都生まれ京都育ちのアメリカ人。僕が京都を離れた1989年生まれの、僕とは20才以上離れた“若者”が様々なカテゴリーで、アカデミックにではなく『自分はこう考えてる、ここに矛盾を感じてる』という自らの道徳的態度を表明した本でした。こういう本が、刊行間もなく増刷が決まり、我が書店でも(この系統の本には珍しく)目に見えるように減っていくのはとても素晴らしい事だと思う。 現代日本における判断の“軸”を、道徳的・哲学的にこう考える!と、学問の意義/功利主義/ジェンダー論/幸福論という四部構成で書いてるが、その中の章も多種多様。それぞれの章でそれこそ“リベラル”とか“動物倫理”、“トロッコ問題”“フェミニズム”“ケア・共感”“恋愛論”“ストア派”など結構バラバラなテーマでパーツを成し、それらが集まって部になんとなく集約、そして彼の『態度』を示している。 コレを読んで納得するとか共感するとかでなく、自分ならどう考えるか?(どう軸をつくるか?)という自分の思考(態度の表明)の整理を始めるキッカケになるような本でした。 ひとつ、共感というか”あぁ良かった”と思えた点は、『世界は(それでも昔と比べて)少しづつ良くなってる』というメッセージが自分でも腑に落ちたこと…。完璧ではないけど、(我々の”選択”の連続により)より良い社会が形成されていってるのであれば、他人・他生物の事を自らの事のように考える“想像力”を、これからも働かせ続けなければ!と思いました。
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