ナイチンゲールの沈黙
海堂尊
2006年10月31日
宝島社
1,760円(税込)
小説・エッセイ
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌ー網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
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もこりゅう
根底にはきちんと「医療の裏づけ」、がほしい。
前作の「チーム・バチスタの栄光」は医療とキャラクターを中心としたミステリモノであり、とても面白い作品であった。同じ流れを期待して読んでみたら、今回はミステリを中心とした医療+SFモノになってしまいちょっとがっかり。今回は、白鳥というキャラクターを活かしきれていなかったし、医療モノとしても中途半端。最後の犯人の自白方法とかもちょっと現実離れしすぎていたような気がするし。医療モノなだけにそのへんのディティールが気になってしまう。おいらの先入観もいけないのかもしれないが、医療モノで現実離れされちゃうと白けちゃうのよね。ちょっとなんでもあり感がある。別に魔法や超能力を使っているわけではないし、そこの根底にはきちんと「医療の裏づけ」、がほしい。 シリーズモノとして展開しているのだから、世界観は大事。ひとつの作品で世界観を壊してしまうと建て直しができない。今後はもっと全体の整合性を考えてほしいと思った。「ふぞろいの林檎たち」もシリーズ中の「ふぞろいな秘密」という作品を出したことで世界観が、、え?あれはシリーズじゃない??あ、そうなの。。何はともあれ、それでも、伏線の張り方や、キャラクター描写の秀逸さはさすがであった。あと、早く姫宮の話を読みたい。
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