おやすみラフマニノフ

愛知音大の学生、城戸晶。同音大生、柘植初音。彼らは音楽で身を立てるべく同窓で学ぶものの、初音の祖父は学長、かつ稀代のラフマニノフ弾きと呼ばれる柘植彰良である。その学長との共演、ストラディバリウスでの演奏権、うまくすればスカウトもという夢のような学園祭コンサートを廻って立て続けに事件が起こる。親と子、血と才能の物語。 前作に引き続き演奏描写が熱い！最後の種明かしよりページ数多い。だが、それが良い。音楽で希望を与え、聴衆から希望をもらう。素敵です。 高みを目指し、人並みの幸せと人間らしい感情を捨て、孤高の人となり頂点を極めたと思ったとき、それでもなお雲の上にまだまだ道は続く。表現者に頂点や終着点はなく、あるのは通過点だけである。 「自分には空疎は精神を蝕むのよ（p.75）」 「運は努力した者にしか微笑まない。棚からぼた餅なんてこともあるけど、努力の味を知らないものは餅の本当の味にも気づかない。（p.90）」 「自分の不幸を他人のせいにするのはとても楽だけど、安楽というのは一種の足枷だよ。人をその場に釘付けにする（p.124） 「仕事で優先するのは信頼よ。信用じゃない（p.161）」 「幾つもの選択の集積が現在につながっている。捨て去ったものに責任を果たすためには選んだものを大事にするしかない（p.182）」 「武器なら既に君が持っている。戦い方なら僕が知っている。さあ、君は逃げるかい。それとも僕と一緒に闘うかい（p.253）」 多発性硬化症 (multiple sclerosis; MS)。中枢性脱髄疾患のひとつ。主因は不明であるが、Epstein-Barr virus (EBV)を原因とする説あり。EBVにより自己抗体産生（anti-AQP4 [aquaporin-4] antibody, anti-MOG [myelin-oligodendrocyte glycoprotein] antibody）・自己免疫応答の誘導に寄与することで多発性硬化症の病態形成に関与するというもの。

非表示