ビジョナリー・カンパニー(2)
ジェームズ・C.コリンズ / 山岡洋一
2001年12月31日
日経BP
2,420円(税込)
ビジネス・経済・就職
『ビジョナリーカンパニー』の著者が7年ぶりに書き下ろす飛躍企業11社の秘密。
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メモのつづき
飛躍した企業は、針鼠の概念を獲得するまでに平均四年かかっている。戦略を確立していた点だけでは、飛躍した企業と比較対象企業に違いはなかった。しかし飛躍した企業は理解に基づいて目標と戦略を設定していたが、比較対象企業は虚勢に基づいて目標と戦略を設定している。針鼠の概念の確立は、反復の過程である。評議会が有益な手段になりうる。評議会は適切な人たちで構成し、三つの円に基づく議論と討論を長期にわたって反復し、問題と決定について考えていく。指導的な立場にある経営幹部が組織、通常五人から十二人で構成される。参加者は、理解を得るために定期的に議論し、論争する。見方が様々な参加者で構成されるが、みな組織か組織を取り巻く環境のうちいずれかの側面について、深い知識をもっている。偉大な実績を持続するためには、偉大な産業で事業を行っているわけではない。飛躍した企業は、産業がどれほど悲惨であっても、事業の経済的な現実を深く理解することで、卓越した利益をあげる方法を見つけだしている。偉大な実績への飛躍を遂げた企業は、「会社の事業に皆で情熱を傾けよう」と呼びかけたわけではない。正反対の賢明な方法をとっている。つまり、自分たちが情熱を燃やせることだけに取り組む方針をとっている。針鼠の概念を確立すると、方針に迷うことも少なくなる。 第六章 人ではなく、システムを管理する 規律の文化 偉大な業績を維持するカギは、みずから規律を守り、規律ある行動をとり、三つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まる企業文化を作り上げることにある。官僚制度は規律の欠如と無能力という問題を補うためのものであり、この問題は不適切な人をバスに乗せていることに起因している。適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろせば、組織を窒息させる官僚制度は不要になる。規律の文化には二面性があり、一貫性のあるシステムを守る人たちが必要な一方、このシステムの枠組みのなかで、自由と責任を与える。規律の文化は行動の面に限られるものではない。規律ある考えができ、つぎに規律ある行動をとる規律ある人材が必要である。飛躍した企業は外からは一見退屈に見えるが、極端なほど勤勉で、徹底して仕事に取り組む人たちが大勢いる(コッテージ・チーズを洗う人たち)。規律の文化と規律をもたらす暴君とはまったく違ったものであり、規律の文化はきわめて有益だが、規律をもたらす暴君はきわめて有害。救世主のCEOが強烈な個性によって規律を持ち込んだ場合、偉大な業神を持続できないのが通常。偉大な業績を持続させるためにもっとも重要な点は、針鼠の概念を熱狂的ともいえるほど信奉し、三つの円の重なる部分に入らないものであれば、どんな機会でも見送る意思をもつことである。「一生に一度の機会」であっても、三つの円が重なる部分に入っていないのであれば、飛びつく理由はまったくない。偉大な企業になれば、そのような機会にたくさんぶつかるようになる。針鼠の概念を見つけ出す規律をもった企業は少なく、その内部に止まりつづける規律をもった企業はさらに少ない。三つの円の重なる部分に止まる規律をもつほど、成長と貢献の魅力的な機会が増えるという逆説がおこる。偉大な企業は、機会が少なすぎて飢える可能性よりも、機会が多すぎて消化不良に苦しむ可能性の方が高いため、機会を作りだすことではなく、機会を取捨選択することが課題になる。超優良に飛躍した企業では、予算編成は、それぞれの活動にどれだけの資金を割り当てるかを決めるものではない。どの活動は針鼠の概念に最適で、したがって集中的に強化すべきか、どの活動は完全に廃止すべきかを決めるものである。・「止めるべきこと」のリストは、「やるべきこと」のリストよりも重要である。 第七章 新技術にふりまわされない 促進剤としての技術 偉大な業績への飛躍を遂げた企業は、技術と技術の変化について、凡庸な企業とは違った考え方をしている。飛躍した企業は技術の流行に乗るのを避けているが、慎重に選んだ分野の技術の利用で先駆者になっている。どの技術分野に関しても決定的な問いは、その技術が自社の針鼠の概念に直接に適合しているのかである。この問いへの答えがイエスであれば、その技術の利用で先駆者になる必要がある。ノーであれば、ごく普通に採用するか無視すればいい。技術は適切に利用すれば業績の勢いの促進剤になるが、勢いを作りだすわけではない。偉大な業績に飛躍した企業が、先駆的な技術の利用によって転換をはじめたケースはない。しかし、三つの円を理解するようになり、業績が飛躍するようになった後に、どの企業も技術の利用で先駆者になっている。飛躍した企業が開発した最先端技術を直接比較対象企業に無料で提供しても、比較対象企業は近い業績をあげることはできないだろう。技術の変化にどのように反応するかは、偉大な企業と凡庸な企業の動機の違いを見事に示すものになる。偉大な企業は思慮深く、創造性豊かに対応し、自社の可能性を実現したいとの動機によって行動する。技術が急激に大幅に変化する時期にすらも、「這い、歩き、走る」方法がきわめて効果的になりうる。凡庸な企業は受け身になって右往左往し、取り残されることへの恐怖によって行動する。かつて超優良であった企業の没落(そしてほとんどの企業が凡庸さから抜け出せないこと)が技術の変化を主因とするものだとの見方を支える事実はでてこなかった。たしかに技術面で遅れていては、偉大な企業にはなれない。しかし、技術そのものが偉大な企業への飛躍や偉大な企業の没落の主因になることはない。偉大な業績への飛躍を導いた経営幹部を対象に行ったインタビューでは、全体の八十パーセントは、飛躍をもたらした上位五つの要因のひとつとして技術をあげていない。 第八章 劇的な転換はゆっくり進む 弾み車と悪循環 偉大な企業への飛躍は、外部からみれば劇的で革命的にみえるが、内部からみれば生物の成長のような積み重ねの過程だと感じられる。最終的な結果と積み重ねの過程を混同すると、見方が歪んで、実際には長期間にわたる動きであることがみえにくくなる。最終結果がどれほど劇的でも、飛躍が一気に達成されることはない。決定的な行動、壮大な計画、画期的な技術革新といったものもない。飛躍した企業の内部にいた関係者は、転換の時点ではその規模の大きさに気づかず、後に振り返ってみてはじめて、大規模な転換であったことに気づいている場合が少なくない。転換の動きには名前や、標語や、開始の式典や、特別な計画など、何か特別なことをやっていると思わせるものは何もなかった。比較対象企業はそういった突破段階に一気に進む方法を探し求めていた。偉大さを持続できる転換は、準備段階から突破段階に移行するパターンを常にたどっている。巨大で重い弾み車を回転させるのに似て、当初はわずかに前進するだけでも並大抵ではない努力が必要だが、長期にわたって、一貫性をもたせてひとつの方向に押しつづけ(つねに改善を続け、業績を伸ばしつづけ)ていれば、弾み車に勢いがつき、やがて突破段階に入る。比較対象企業はこれとはまったく違う「悪循環」のパターンに陥っている。弾み車を押しつづけて一回転ずつ勢いを積み重ねていくのではなく、準備段階を飛び越して一気に突破段階に入ろうとする。そして業績が期待外れになると、右往左往して持続的な勢いを作りだせないまま一貫した方向を維持できなくなる。弾み車を押しはじめても、すぐにそれをやめて方針を変え、逆の方向に押し比較対象企業は、賢明とはいえない大型合併によって突破口を開こうと試みることが多いが、飛躍した企業は通常、突破段階に達した後にすでに高速で回転している弾み車の勢いをさらに加速する手段として、大型買収を使っている。偉大な企業への飛躍を導いた指導者は、「力の結集」「従業員の動機付け」「変化の管理」にはほとんど力をいれていない。条件がうまく整えば、意欲や力の結集や動機付けや改革への支持の問題は、自然に解決する。力の結集は主に実績と勢いの結果であり、逆ではない。勢いがついてきたことを感じられるようにすれば、熱意をもって参加する人が増えるようになる。計画の正しさを示す事実を目に見える形で、実績を示す。弾み車に語らせる方法をとれば、目標を熱心に伝える必要はなく、弾み車の勢いをみて、各人が判断し、実現しようと目標は自ずと決まってくる。適切な人たちが望むことは、勝利に向かって進むチームの一員になり、目に見える業績の実現に貢献すること。厳しい現実を直視して生まれた単純明快な計画をみれば、「これはうまくいく。参加させてほしい」と言う可能性が高い。比較対象企業では、新しい方針を頻繁に打ち立て、動機付けのために派手な宣伝をすることが多いが、やがて新方針でも好業績を持続できないことが分かる。短期的な業績向上を求めるウォール街の圧力は、弾み車の方法と矛盾しない。弾み車効果はこうした圧力のもとで発揮できないわけではない。圧力を受けながらも弾み車による準備と突破を目指す忍耐力と規律をもっていた。飛躍を達成するカギは、弾み車を利用して短期的な圧力を管理すること。実績を積み重ねることに注力し、約束は控えめにし、それを超える業績を達成する方法も使っている。そして実績を積み重ねるようになると、ウォール街の熱心な支持を集めるようになる。 第九章 ビジョナリー・カンパニーへの道 永続する偉大な企業になるための「正しい」価値観があるわけではない。これだけは必要不可欠だと思える価値観でも、永続する偉大な企業には、その価値観をもたない企業がある。顧客に対する情熱(ソニーはもっていない)、個人を尊重(ディズニーにはない)、品質重視(ウォルマートにはない)、社会への責任(フォードにはない)などがなくても永続する偉大な企業への道で障害にはならない。偉大さの永続のためには基本的価値観は不可欠だが、どのようなものかは重要ではなく、基本的価値観が社内で知られているか、基本的価値観を組織に組み入れているか、長期にわたって基本的価値観を維持しているのかが問題なのだ。基本理念を維持しながら、世界の変化に対応するには、「基本理念を維持し、進歩を促す」考え方を大切にすることである。永続する偉大な企業は、基本的な価値観と目的を維持しながら、事業戦略や事業慣行では世界の変化にたえず適用している。基本理念を維持し、進歩を促す主要な方法にBHAG(社運を賭けた大胆な目標 Big Hairy Audacious Goals)がある。これはきわめて大きく難しい目標かつ明確で魅力的であり、従業員がただちに理解できる目標である。全社の力を結集する目標になり、その目標に向けて全力を尽くす過程で、従業員が鍛えられ、連帯感が生まれる。悪いBHAGは虚勢によって設定されたものであり、良いBHAGは理解によって設定されたものである。三つの円が重なる部分に関する静かな理解に、BHAGの大胆さがくわわれば、魔法に近いとすらいえる強力な組み合わせになる。 感想 経営者が読むべき本なのかもしれないが、こういった企業の在り方の視点は持っているべき。また自社に対して思うことがぽろぽろと出てくる一方で「自分が世界一になれる部分」「経済的原動力になるもの」「情熱をもって取り組めるもの」の重なる部分に注力し、一貫性のある行動をとることは、会社だけでなく個人のプランにも言えることかもしれない。またそれはいったい何なのかを考え抜くことが必要、一気に突破できる方法はなかったり、戦略をころころと変更すると失敗に終わるといったところも個人にも言えることであるなあと感じた。
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