やっぱりおおかみ

こどものとも傑作集

佐々木マキ

2012年3月31日

福音館書店

990円(税込)

絵本・児童書・図鑑

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(4

starstar
star
2.33

読みたい

8

未読

2

読書中

1

既読

22

未指定

23

-- 2020年03月07日

群れる

バイト中、佐々木マキの話で盛り上がり、大学1年の子が貸してくれた『やっぱりおおかみ』🐺 可愛らしさの中に毒々しさと闇を感じる佐々木マキさんの絵は印象的で忘れられない(『羊男のクリスマス』でクセになった)。この作品は、特にその独特さがあらわされていると思う。 ひとりぼっちのおおかみが、最終的に仲間を見つける話なのかと思ってたけど、全くそうではなくて。結末には、なんかすごく考えさせられてしまった。 学生時代の私は、孤独を逃れ「群れる」ことでどこか安心していたような気がする。気が合わないな〜と思っていても、一人の方が辛いからどこかに属そうとしていた。でも、「わたしは わたしだもんな わたしとして いきるしかないよ」って、おおかみのように気づければよかった。もっと早く。

全部を表示
starstarstarstar
star
4.2 2019年12月09日

「け」

「大なる悲観は大なる楽観に一致するを」と言って華厳の滝に身を投げたのは、藤村操であるが、まさしくその通りだと思う。 悟りと言うと、安っぽく聞こえるが、ある種の諦観が悲観と楽観の二面性を有するのだと思う。 本書『やっぱりおおかみ』は、世界の誰とも相容れない、文字通りの一匹狼である主人公がいかにしてこの世界で生きるか、という内容の絵本である。 主人公のおおかみは、もう世界には一匹しか残っていない。仲間を探して旅に出るも、うさぎやぶたたちからことごとく嫌われ、恐れられてしまう。おおかみは何もしていないのにだ。きっと、疎外感やら寂寥感やらで胸がはち切れそうなのに、たった一言「け」と言って強がっている姿が、なおさら弱々しく見えて仕方がない。 結局、おおかみがどういう決断に至ったのかは、是非読んで自分の目で確かめて欲しい。おおかみの生き様に救われる人も多いのではないかと思う。 【*注意*】↓以下ネタバレを含む↓ 結局、おおかみはこう言ったのだ。 「やっぱり おれは おおかみだもんな おおかみとして いきるしかないよ」 すると、おおかみはなんだか愉快な気分になったのだ。 自己を肯定することはとても難しい。絶対的な評価は客観に寄らなければならず、自己の評価には偏見と欲に満ちた主観的な分析が付きまとうからだ。ましてや、様々な価値観が相対化されていく現代ではなおさらである。 一度、うまく論理的に、自己を評価できたと思えたとしても、“自分が下した”というその一点だけで、あたかもトランプタワーのように自己評価は瓦解してしまう。 では、どうすれば私たちはおおかみのように、心安らかに生きることができるだろうか。私は、これに二つの方法があると思われる。 一つは、思考の停止だ。こんな難しい問題、凡夫な私の手には負えない、といって現実的な問題(勤労や勉学など)に勤しむことができれば、思い悩むことなんてなくなってしまうし、実際多くの大人たちがこうして、飄々と生きている。しかし、この絵本の読者層がこれを実践できるとは思えない。 もう一つは、最初に述べたように、ある種の諦観を享受することであると私は思う。藤村操の言う通り、大なる悲観は大なる楽観に一致するのだ。そして、悲観と楽観の平衡状態に生じる諦観こそ、自己を世界レベルで客観視できるようになるファクターとなりうる。己の内に渦巻く偏見や欲を払拭できれば、そのあとは造作もない。存在の有無を自己の肯否に帰結させることで、自己の肯定は自明のものとなる。しかしこれもまた容易な道ではない。この境地にたどり着くまでには、大なる悲観が不可欠だし、沸点を超えて楽観が過ぎれば、水蒸気のように、あるいは藤村操のように、ふっと消えてしまいかねない。そもそもこの境地が恒常的なものであるわけでもない。 だが、この諦観は何ものにも代え難い安らぎを与えてくれる。これに気づけたことが、私がこの絵本を読んで獲得した財産であると思う。無理してまで誰かと一緒にいる必要なんてないのだ。

全部を表示

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは2文字以上で検索してください