カッシーラーのシンボル哲学
言語・神話・科学に関する考察
齊藤伸
2011年9月15日
知泉書館
5,500円(税込)
人文・思想・社会
エルンスト・カッシーラー(1874-1945)は,既成の文化形式を破壊し,新たな文化を創造しようというワイマール文化の中で育った。カントの「理性批判」を「文化批判」へと発展させ,〈象徴的人間〉として完成する〈シンボル形式の哲学〉という独自の文化哲学を展開した。シンボル形式とは知覚した感覚印象をシンボルへと構成する精神的な力であるが,それは外界の認識手段としてのみならず,文化を生み出す精神の現象全体を意味する。 彼の主著『シンボル形式の哲学』は「言語」「神話的思考」「認識の現象学」の三つの主題によって構成される。 著者は関連する文献をも駆使して本書を読解することにより,その全体像を初めて本格的に解明する。 まず「言語」ではヘルダーやフンボルトの言語論の影響を通して,シンボルとしての言語がいかに文化的生活を可能にする根源的な力であるかを明らかにする。 「神話的思考」については,シンボル哲学全体を基礎づける自然的シンボル機能を検討し,言語と神話の起源を考察することによりシンボル形式の原始状態としての「神話的思考」の特質を考察する。 「認識の現象学」では,人間文化の最高にして最も特徴的な成果である科学および科学的思考を,それとは対照的な神話的思考と比較しつつ,シンボル形式との関連を追究することにより,新たな認識の道を切り開く。 カッシーラーの議論は多彩な分野の理論を活用し,その主題が枝や葉に覆われ見えづらくなるが,著者はそれらを適切に剪定し,簡潔な理解を可能にした。
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