夢野久作の場所

山本 巖

2014年9月12日

書肆侃侃房

2,200円(税込)

人文・思想・社会

近代史の闇を覗くと現代の狂気がみえる。 人間が抱える不可解さ、不安、そして不条理。 時代を超えた疑問は解けるのか。 久作の予言なのか…  乱歩の「夢野君の書かれた狂気の世界は、狂人自身が書いた狂気の世界で、文学者が書いた狂気の世界ではないといふやうなところがある」(『夢野久作の世界』)は興味深い。探偵小説論的に言えば、久作の作品には、すべてのナゾ解きが終わったあと、なお、人間が抱え込んだ不可解さや不安が残る。久作が批判してやまなかった近代という時代の論理が、さらに広く深く浸透したのが現代であるとすれば、夢野久作をどう位置付けるかは、日本文学史のなかでなお、本質的な課題として残されているといえるのではないか。 (著者)

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