遙かなる夢ものがたり

小説遙かなる時空の中で

近藤史恵

2001年12月31日

コーエーテクモゲームス

1,320円(税込)

小説・エッセイ

『はるか通信』の連載小説に、書き下ろし中編を加えて単行本化。書き下ろしで、連載には出てこなかった八葉も全員登場!「八葉」が「神子」に語る過ぎし日の物語。人気ゲームソフト『遙かなる時空の中で』初のオフィシャル小説登場。

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Readeeユーザー

(無題)

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2.7 2018年02月09日

不思議な小説でした。不思議な雰囲気を醸し出す第一の要因は、恋に恋する年代の少女が好む世界だからなのでしょうか。この世界は、少女漫画やラノベでボーイズラブが好まれているのと同様な好みなのかもしれません。もうひとつはやはり若い女性好みのファンタジーですね。しかも舞台設定が平安末期ですので、華やかな貴族文化と日本独特の穢れや怨霊思想、陰陽師や法力といった超常現象と現代の少年少女の感性が入り乱れて不思議な雰囲気が作り出されているのです。日本人の「こころ」が現代の若者にもしっかりと受け継がれていることを改めて感じました。 それにしても本作は、これまで読んできた著者の作風とは大きな違いがあります。その理由があとがきに至って明らかになりました。本作は『遙かなる時空の中で』というゲームのノベライズだったのです。僕にとってテレビゲームといえば、ごくごく初期のブロック崩しやインベーダーゲームに夢中になった思い出があるくらいで、今は全く興味がありません。ですからこのゲームの人気が高く、漫画化されたり映画となったことも全く知りませんでした。 主人公の元宮あかねは、同級生の森村天真、後輩の流山詩紋と共に「京」と呼ばれる異世界にワープしました。この世界であかねは「龍神の神子」として「八葉」と呼ばれる8人の男性と力を合わせて「鬼」から京を守る使命を帯びていたのでした。八葉は当然のごとく八葉蓮華をイメージし、仏力・法力の超常力が働く事を想像するのは容易です。また、「南総里見八犬伝」もすぐさま思い浮かびますね。壮大な物語が予見されます。 私たちが神社に参詣するときは、必ず手水舎で口をすすいで手を洗いますね。これは穢れを祓うためですね。それでは、日本人はいつ頃から穢れという概念を抱くようになったのでしょうか。死、出産、血液などを穢とするのは元々ヒンドゥー教のものでした。インドで生まれた仏教にもこの思想が流入し、特に平安仏教はこの影響を強く受けていたため、穢れ観念は京都を中心に日本全国へと広がっていきました。ですから、方違えや物忌みといって穢れを避けるのは、この当時普通に行われていました。神子のあかねが外出をも避ける物忌みに退屈しないように、八葉の一人ひとりが京の出来事を物語って聴かせるのが本作の趣向です。

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