叫びの都市

寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者

原口 剛

2016年8月31日

洛北出版

2,640円(税込)

人文・思想・社会

夜の底、うねり流れる群れ ---   流動する労働者(流動的下層労働者)たちは、かつて、職や生存を求め、群れとなった。かれらは、都市空間の深みを潜り抜けたのだ。山谷ー寿町ー笹島ー釜ヶ崎を行き交う、身体の群れ。その流動は、いかなる空間を生み出していったのか。  私たちはすでに「釜ヶ崎的状況」を生きている。「寄せ場〔よせば〕」の記憶は、今を生き残る術〔すべ〕を手繰りよせるための、切実な手がかりなのだ。地表を横断する群れとなれ、君みずからの「寄せ場」をつくれ -- 過去からの声は、そう私たちに耳打ちしている。 序 章 ● アスファルトを引き剥がす    釜ヶ崎という場所    過程としての空間    本書の問い -- 線を追跡する 第1章 ● 戦後寄せ場の原点 -- 大阪港と釜ヶ崎    一九五〇-六〇年代の港湾労働の地理    港湾における労働者階級の状態    国策と資本の矛盾    封じ込められた例外 第2章  ● 空間の生産    一九六〇年・釜ヶ崎の社会空間    場所の構築 -- 焦点とフレーム    空間改造    植民地的空間の犠牲者たち 第3章 ● 陸の暴動、海のストライキ    対抗の地勢    陸から海への線    海から陸への線    失われた地勢    記憶のリストラクチャリング    孤島から群島へ -- 流動的下層労働者の像  第4章 ● 寄せ場の生成 (1) -- 拠点性をめぐって    暴動とは何であったのか    暴動の活用 (1) -- 全港湾西成分会の議会内闘争    階級の形成 -- 流動的下層労働者    暴動の活用 (2) -- 釜共闘の直接行動    拠点としての寄せ場 第5章 ● 寄せ場の生成 (2) -- 流動性をめぐって    寄せ場の労働者になる --I氏の流動    寄せ場とはどこか    複数の寄せ場    飛び火する運動 -- 「山谷ー釜ヶ崎」    あらたに飛び火する運動 -- 寿町    さらに飛び火する運動 -- 笹島    寄せ場とはなにか -- 流動と過剰 終 章 ● 地下の都市、地表の都市    社会の総寄せ場化    寄り場なき都市空間    私営化とジェントリフィケーション    寄り場のゆくえ   ● あとがき/文献一覧/索 引

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