街場の文体論
内田樹
2012年7月31日
ミシマ社
1,760円(税込)
人文・思想・社会
言語にとって愛とは何か?30年におよぶ教師生活の最後の半年、著者が「これだけは伝えたい」と教壇で語られた「クリエイティブ・ライティング」14講。全国民に捧げる、「届く言葉」の届け方。
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(無題)
感動の内に読み終わりました。内田樹は素晴らしいです。本書は内田樹が神戸女子大で行ったクリエイティブ・ライティングについての講義をまとめた本です。大学教授にとって最終講義は、研究者としての集大成なので、学生は勿論、同僚、上司も傍聴するいわば花道なのですが、その最終講義をできない教授がいるそうです。日々の授業や雑用をこなす内に過ぎ行く毎日。出世や学会の評価に気を配るあまり、本来の学問がおろそかになり、学者として最後に語る言葉を見失ってしまったと言う事です。その意味では内田樹は、教師としてもまた、研究者としても一流と言えましよう。何より本書が雄弁に物語っています。さて本書は一見すれば「書き方」講座のようにも見えるタイトルですが、実際は“書く”という行為に宿るコミュニケーションの本質に迫っています。書くための、社会洞察なども含めた、かなり幅広い叡智の詰まった一冊といえます。知識や技術はオープンエンドであるべきで、皆に贈与されるべき、との著者の言は全くの同感であります。また「響く言葉」「届く言葉」「身体に触れる言葉」とは『魂から出る言葉』であると述べていますが、この前後を読めば正に著者が学者として誠心誠意心から学生に『襟首をつかんでゆすぶるように、わかって欲しい』と叫んでいるのが伝わって来て、感動的です。 本書で著者が問うているのは、単なる文体、および文体によって規定される言語使用とは対極的な言葉のあり方であります。それは「生成的な言葉とは何か」との問いかけにつきます。と、わかったような事を書いていますが、実際はこれっぽっちもわかっていません。フランス文学やフランスの思想なんてチンプンカンプンです。ましてや修辞法やらなんやら言われても、ちっともわかりません。我慢に我慢を重ねて、最後まで読みました。最後にご褒美が待っていました。
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