新訳 建礼門院右京大夫集

島内 景二

2023年12月5日

花鳥社

2,970円(税込)

人文・思想・社会

右京大夫の記憶の底には、平家一門の男や女たちの人々の「悲しみ」がある。彼らは、自分たち一族を天国から地獄へと突き落とし、滅亡させた歴史に対して、「言葉にならない怒り」を感じている。だが、既に死者であるがゆえに、彼らの悲しみは言葉になれずに、鬱勃とした状態のままで蠢(うごめ)いている。生き永らえて、沁んでいった者たちの悲しみや怒りを抱え続けた右京大夫は、自分の心と、彼らの心を「同機」させた。そのうえで、自分の記憶を言葉にし、かつ、和歌に歌った。

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