〔電子〕スマトラの芸者猫
松岡 淳平
2016年12月4日
うおやし
200円(税込)
小説・エッセイ
「スマトラの芸者猫」梗概 インドネシアのスマトラ島南端にあるランプン湾の海洋センターに赴任してきた日本人技術者である私と借家にいた野良猫の話である。芸者猫は後から来た妻がその野良猫につけた名前であるが、共に、あまり猫好きではなかった。 イスラム社会では「猫は天国に住む動物、犬は地獄に住む動物」と言われ、その借家の敬虔なイスラム教徒である夫婦のお手伝いさんと警備員にその猫はかわいがられていた。ある日、居間にいた芸者猫を外に出そうとしたとき、その猫の意外な反応に私は驚くのだが、だからと言って、特段関心を持つこともなく月日は過ぎた。 ここの生活にも慣れ、好きな魚釣りに行くようになって、釣ってきた魚の残り物をその猫に与えるようになった。ある日釣ってきた小魚の頭や内臓を芸者猫が全部食べた後、その魚の喉に釣針を残したままであったことを思い出したことから、私は芸者猫にかかわっていくことになる。 そんなことのあった後、芸者猫が五匹の子猫を持ち、その子猫の素性を訝りながら、里親や、この社会での子猫の捨て方を悩みながら、結局私の思いもよらない結末で子猫たちはいなくなった。さらに芸者猫もその旦那のドラ公も姿を見せなくなって、私は二年の任期を終えこの地を離れた。 私の話と芸者猫の話からこの物語は進行してゆくのだが、芸者猫自身の語る話から、私の知らない事実も判明してゆく。
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