これが和田の魔球の正体だ！

ものすごく速いわけでもないのに一流のバッターが次々と空振りをする。プロ野球ファンの中ではもはやお馴染みともいえるソフトバンクホークス・和田毅の“魔球”ストレートに迫った一冊です。 意外にもピッチングのメカニクスについては控えめで、球速に関しては平凡といえる和田という投手が如何にして日本屈指の左腕と評されるまでに至ったかの努力譚がメインで、読み物としても面白く読めます。 身体的には恵まれているとは言い難い和田が大学で当時学生コーチの土橋氏と出会い、試行錯誤しながら二人三脚で投手・和田を作り上げていく様子は、さながら野球漫画のようです。 ピッチングの分析だけではなく、和田自身のピッチングや野球に対する考えをインタビューで浮き彫りにしているところも本書の魅力。一見して論理的な考え方、計画性、自己管理能力の高い人物であるのに、土橋氏いわく”感覚派”。インタビューで浮かび上がる和田投手の人物像もぜひ味わってほしいと思います。